使命と沿革

使命とビジョン

日本国際基督教大学財団(JICUF)は、内国歳入法第501条c項3号に基づく公共慈善団体です。ニューヨーク市に拠点を置き、国際基督教大学(ICU)のグローバルなプログラムを支援しています。ICUは、東京西部におよそ19万坪の緑豊かなキャンパスを持つ、日英両語で教育をおこなうリベラル・アーツ大学です。

JICUFは、ICUの学生のための奨学金、教員の交換プログラム、グローバル・プログラム、キャンパス内の諸施設の建設や改築に資金を提供しています。財団職員は、助成金の交付の他、学生や教員、卒業生のためのさまざまなプログラムを企画・実施しています。また、ICUの職員と協力して、入学希望者の募集、資金集め、北米在住の卒業生の活動の支援もおこなっています。

<使命>
JICUFは、ICUと共に人類に貢献するグローバル市民を育成します。

<ビジョン>
JICUFのビジョンは、平和で持続可能な未来を切り開くグローバル市民のコミュニティを築くことです。グローバル市民は、批判的思考力と優れたコミュニケーション能力を有し、様々な文化圏や国境を超えた活動を自在に行える人々です。確固たる倫理観をもち、人類に貢献します。その指針はICUの基督教の伝統と、平和、正義、平等、自由、愛の普遍的価値に根ざしています。

重点分野

 JICUFの使命は、​​ICUと共に人類に貢献するグローバル市民を育成することです。この使命を達成する一つの方法として、今後5年間に(1)サステナビリティ、(2) DEI (Diversity, Equity, Inclusion)、(3) 平和の構築の三つの分野に重点的に取り組みます。これらの分野で進歩を促すことは、グローバル市民の重要な責任であり、コモン・グッドに不可欠であると考えます。それぞれのテーマについて説明します。

(1) サステナビリティ(持続可能性)
 サステナビリティ(持続性)とは、未来の世代が繁栄し続けられるよう、人間の活動と自然環境の保全のバランスを保つことです。自然環境は、人類にとってなくてはならないコモン・グッドです。我々には、未来の世代の生活の質を損ねないような暮らしをする責任があります。

(2) DEI(Diversity, Equity, Inclusion)

  • ダイバーシティ(多様性)とは、あらゆる背景を持つ人々がコミュニティに参画すること。
  • エクイティ(公平性)とは、すべての人に公平に接し、平等な機会・資源へのアクセスを提供すること。
  • インクルージョン(包括性)とは、すべての人に発言権のある、開かれた環境を整備すること。

 DEIは、すべての人を尊重することによって自然に達成されます。全人類に尊厳と平等な権利があるという考えは、JICUFとICUの核心にあります。ICUで学ぶすべての学生が、入学時に世界人権宣言の原則にたって学生生活を送ることを宣誓します。世界人権宣言は、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」と謳っています。

(3) 平和の構築
 平和の構築(peacebuilding)とは、暴力的紛争を回避または解決し、人類の繁栄を維持するために積極的に努力することです。ICUとJICUFは、第二次世界大戦後、平和と和解を目指して設立されました。献学当初から、ICUは持続的な平和に貢献するグローバル市民の育成を目指してきました。

 JICUFは、ICUコミュニティの構成員がこれらのテーマにつき考え、議論し、行動を起こすことを促進します。

沿革

 第二次世界大戦の終結時、日本にトップクラスの国際的な大学を設立するという長年の計画に注目が集まりました。日本が敗戦と戦争による荒廃に喘ぐ中、日米両国で平和と和解を望む市民が団結して、基督教精神に基づき、国際理解と協力に貢献するリーダーを育成する総合大学の創設に取り組みました。

エレノア・ルーズベルトは、1953年のICU初の入学式で、世界人権宣言について話しました。ルーズベルトの後方に座っているのは、湯浅八郎ICU初代学長。

 世界人権宣言の重要性に触れたエレノア・ルーズベルトの卒業式の挨拶はこちら、世界人権宣言はこちらでご覧いただけます。

 日本と北米の双方で、大学建設計画委員会が結成されました。米国の教会使節団による寄付と支援を受けて、1949年春にニューヨーク州に日本国際基督教大学財団(JICUF)が設立され、ともに傑出した使節団代表であったラルフ・E・ディッフェンドルファー博士とジョン・コベントリー・スミス博士が、財団の初代会長、副会長にそれぞれ選ばれました。1951年にディッフェンドルファー博士が亡くなると、エール大学神学部で基督教史の教鞭をとっていたケネス・スコット・ラトゥレット教授が後を継ぎました。

 日本と北米の委員会が協調して募金キャンペーンを開始しました。日本では、仏教徒であった一万田尚登日本銀行総裁が後援会長となって募金活動を進め、大学の敷地となる広大な土地の購入資金を調達しました。

 米国の募金キャンペーンの名誉会長はダグラス・マッカーサー元帥で、北米でも多くの一般の人々が惜しみない寄付をしました。

 ICUは1949年6月15日に正式に創立されましたが、学校法人として認可されたのは、初めて新入生を受け入れた1953年でした。間もなくこの新設大学は、日本と北米の人々の和解の象徴となりました。

 大学の創設期には、JICUFは北米のいくつかの基督教宗派と献身的な個人からの寄付を受けて、ICUの教育施設の建設を支援した他、運営費の60%及び特別事業費の90%を負担しました。また、この時期には教員の44%は海外から来ており、その給与はすべてJICUFが支払いました。

 しかし、何年もたたないうちにICUは日本を代表する大学の一つに発展し、運営費や教員の給与の支払いに財団の支援を必要としなくなりました。1980年代に入る頃には、日本経済が急成長を遂げる一方で、財団を構成する教会使節団は寄付金の減少を受けて、より差し迫った支援を必要とする地域でのプログラムに重点を置くようになりました。 1991年には、北米における寄付金が劇的に減少し、財団は変革を余儀なくされ、活動を大幅に縮小しました。その後1997年まで、財団はほぼ活動停止状態でしたが、ICUの後押しがあり、ニューヨーク市のオフィスを再開しました。

 1999年に東京とニューヨークでICUの50周年の祝賀会が開かれた頃には、財団がニューヨーク市ブルックリン地区のドナルド・オスマー教授とミルドレッド・トップ・オスマー夫人より寛大な遺贈を受けることが決まっていました。(オスマー夫妻についての詳細はこちらでご覧ください。)新たな資金源を得て、JICUFは再びICUに有意義な支援を提供できるようになりました。2000年には、財団は二つの非営利法人、すなわちJapan ICU Foundation, Inc.と、JICUF Endowment, Inc.に再編成されました。前者は運営機関であり、後者は補助機関です。

JICUFとICU

 日本のトップクラスの四年制リベラル・アーツ・カレッジであるICUは、国際性豊かな環境の中で、世界の正義と平和に奉仕する学生を育成することを目指しています。ICUは、学問への使命と個人の尊重を通して、真理を探求し、学問の自由を守り、精神を豊かにすることを理念とし、常に時代の一歩先を見据えた学びの共同体を目指しています。そのコミュニティでは、多様な国籍と文化的背景を持つ人間が共に生活し、学び、協力し合っています。多様な文化が共存するバイリンガルな環境には、特有の困難もあります。しかし、こうした環境の価値を知る学生にとっては、ICUでの生活は間違いなく実り多いものとなるでしょう。

 ICUは今日もこの伝統を守り、世界平和と社会正義を尊重するキャンパス・コミュニティを保っています。高い評価を得ているICUの平和研究は、諸国、諸民族、諸文化、諸宗教の共生への願いが集結する核心的なプログラムです。社会奉仕活動を通しての学習、地域との対話、カウンセリング、ソーシャル・ワーク、ジェンダー研究、環境研究に重点を置くICUの最大の関心事は、今も社会正義の実現です。

湯浅八郎初代学長

 湯浅八郎初代学長は、1957年3月21日の第一回卒業式でこのように述べました。

“At ICU, internationalism is not just another topic for futile discussion.  It is a daily, maturing experience, owing to the opportunities on this campus for international, interracial and intercultural community living.  Likewise Christianity at ICU is never identified only with a creed or sectarian scruple.  Rather it is a dynamic creative principle governing and enriching our human relations.  I thank God that at ICU we have been made humbly conscious that we cannot serve the great cause of social justice and world peace conscientiously and constructively unless we ourselves outgrow our 20th century superstitions and cleanse ourselves of the blackest of human sins, arrogance.”

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