2026年オスマー・リサーチ・フェローシップ受賞者が相互評価とワークショップに参加
5月23日(土)、JICUF はICUキャンパスで2026年オスマー・リサーチ・フェローシップ春季ワークショップを開催し、ICUの様々な学部から選出された18名の新フェローをはじめ、基調講演者、パネリスト、スタッフが一堂に集まりました。このワークショップは、彼らの夏期研究資金援助に加えて、フェローシップの目標である、ICU在学中だけでなく卒業後も継続可能な学際的ネットワークを構築するための第一歩となりました。

午前の部は、ICU言語学名誉教授のジョン・C・メイハー博士による基調講演で始まりました。博士は、研究とは慎重かつ体系的なプロセスであると同時に、特に計画通りに進まない場合は不確実性に満ちたものでもあると説き、フェローたちに研究過程の疑問、挫折、小さな成功を毎日記録するよう助言しました。また、岐路に立たされた時は「完璧な道」を追い求めるのではなく、「完璧ではないけれど十分に良い道(Good enough)」を選ぶよう促しました。最後に、博士はフェローたちにとって最も価値あるもの、すなわち時間、メンター、そして仲間に頼ることの重要性を強調し、講演を締めくくりました。

その後、JICUF代表の ポール・ヘイスティングスが司会を務めるパネルディスカッションが行われ、JICUF資金提供を受けた3人の研究者がそれぞれの研究の道のりと、その過程で直面した予期せぬ課題について共有しました。メキシコのチアパス州先住民コミュニティにおける宗教的不寛容を研究したシルビア・ルス・ゴンザレス・マルケス教授は、インタビュー対象者から自身の要求の緊急性を政府高官に伝えるよう求められた際に、客観的な研究者としての自らの役割を維持することの難しさについて述べました。蚊の大きさと生息地の関係を研究した笹岡みちる氏は、複雑な3Dプリント機器を使用した当初の採集計画がうまくいかず、虫取り網を使用した単純な採集計画に変更したいきさつを語りました。ケニアの私立・公立学校の生徒の社会的感情学習の成果を比較研究した吉川奈穂氏は、観察中に教師が生徒に体罰を加えるのを目撃した際に研究者としての自制の困難さについて語り、マルケス教授の経験と呼応する課題を共有しました。

短い質疑応答の後、フェローたちはユニークな相互評価セッションに参加しました。小グループに分かれ、各プロジェクトごとに30分間の体系的な議論が行われました。議論の冒頭ではグループメンバーの一人が別のメンバーの研究プロジェクトを紹介し、質問を提起します。研究者であるメンバーは相手が自身の研究をどのように解釈しているか耳を傾け、討論終盤の10分間に議論に参加し、提起された質問と提案された改善案に回答しました。 (セッションの構成は下の図を参照してください。)

各フェローの研究を専門外の視点に公開することで、その内容をより明確で理解しやすいものにすることを目指し、JICUFは独自のディスカッション形式を設計しました。あえて異なる学問的背景を持つフェロー同士を組み合わせることで、発表者は自身の専門分野外の人が自分の研究をどう解釈するかを知ることができました。この分野横断式のアプローチは、主に二つの利点をもたらしました。研究者は研究手法の再構築に繋がる新たな知見を得ることができ、一方でグループメンバーは他分野における研究への取り組み方法を垣間見るという、貴重な体験を得ました。
相互評価セッションの様子(撮影:フェルナンド・ロハス)
この相互評価方法はフェロー達から高い評価を得ました。ある参加者は、討論中に沈黙していることで、「どの点を伝えるのが難しいのか、またどこで自然と疑問が湧くのかを正確に把握できた」と述べています。閉鎖的な学術コミュニティに慣れ親しんでいる参加者にとって、異なる専門分野の人々が交流する機会は特に有意義なものでした。ある生物学専攻の学生は、「こうした機会はめったにありません。自分の研究の構想を練り上げるのに役立つ、非常に独創的なアイデアを得ることができました。」と語っています。
2026年ORF春季ワークショップレセプション(撮影:堀内京香)
その日の締めくくりとして、「ダイアログ・ハウス」のラウンジでレセプションが開かれました。フェローとアドバイザーは、食事を楽しみながらその日の活動を振り返り、相互評価セッションでの議論をさらに深めました。
フェローたちは11月に再び集まり、夏の研究活動を振り返るとともに研究ポスターを作成し、12月初旬に研究発表を行います。
2026年オスマーフェローシップの詳細については、こちらをご覧ください。フェローシップについて詳しく知りたい方は、シニアプログラムマネージャーのフェルナンド・ロハス(frojas@jicuf.org)までお気軽にお問い合わせください。
