SDGプロジェクトスポットライト: モハメド・チェトホ・ンチョタ
SDGプロジェクトスポットライト: モハメド・チェトホ・ンチョタ
「清潔な水と健康で、明るい未来を」― プロジェクトの振り返りと将来の展望
2025年春期のSDGプロジェクト助成金を受給したICU教養学部3年生の(当時)モハメド・チェトホ・ンチョタさんはカメルーンからの留学生です。モハメドさんが進めるプロジェクトは、カメルーンの首都ヤウンデにある2つの孤児院、Centre des Handicapés Etoug EbeとSainte Rita OPに住む子どもたちの生活環境向上を目指し、浄水フィルター設置と衛生用品の支給、環境衛生に関する教育を提供するものです。昨年の夏、現地での活動を行ったモハメドさんにお話を伺いました。
JICUF:このプロジェクトを始めようと思ったきっかけを教えてください。
モハメドさん:このプロジェクトのアイデアは、カメルーンの首都ヤウンデで暮らす孤児たちが、深刻な健康問題を抱えていることを知って生まれました。子どもたちの中には、「英語圏危機」(訳者註:カメルーンは8割がフランス語圏、2割が英語圏で、2017年から分離独立を求める英語圏の武装集派と政府の衝突が続いている)に巻き込まれたり、極度の貧困によって家族と離れて暮らすことになった子どもたちがいます。
現地の慈善団体Befhop Charity Foundation(BCF)と協力して調査を進める中で、コレラや腸チフスなどの水系感染症やマラリアが、子どもたちの健康を大きく脅かしていることを知り、私たちは一時的な支援ではなく、長期的な仕組みづくりを目指しました。浄水フィルターや繰り返し使える衛生用品を提供するだけでなく、健康や衛生に関する教育もおこなうことで、子どもたち自身が健康を守る力を身につけられるプロジェクトを計画しました。
JICUF:計画どおりにプロジェクトは進みましたか?また、どのような課題がありましたか?
モハメドさん:プロジェクトの大きな目標は、当初の計画どおり達成することができました。しかし、現地で実際に活動を進める中では、いくつかの課題にも直面しました。特に、良質な浄水フィルターを適正価格で提供してくれる業者を見つけるのに予想以上の時間がかかりました。また、健康教育の内容も、現地の多様な言語環境に合わせて、フランス語、英語、ピジン英語(訳者註:英語を土台に他言語の要素が混ざった混成言語)で理解できるよう教材を調整しました。こうした困難を乗り越えることができたのは、現地パートナーであるBCFの存在があったからです。地域をよく知る彼らの経験と協力が、プロジェクトを成功に導く大きな力となりました。
JICUF:現地での活動の中で、最も心に残っている出来事を教えてください。
モハメドさん:最も印象に残っているのは、子どもたちや施設のスタッフを対象に行った健康教育と、浄水フィルターの使い方・管理方法についての研修です。最初は不安そうだった子どもたちや保護者の方々が、少しずつ知識を身につけ、自信を持って自分たちの健康を守ろうとする様子を見ることができ、その変化は、とても感動的でした。
この経験を通じて、彼らは単に「支援を受ける側」ではなく、自分たちの健康を守る「担い手」になっていくのだと感じました。また、思春期の女の子たちへの生理用品の提供も大切な活動の一つでした。生理や衛生は、現地ではまだ話しにくいテーマですが、この支援をきっかけに安心して相談できる雰囲気が生まれました。少女たちの表情が明るくなり、自信を取り戻していく姿がとても印象に残っています。
JICUF:このプロジェクトを通して得た学びや気づきを教えてください。
モハメドさん:この経験を通して、持続可能な変化を生み出すのは、「設備が20%、地域との関わりが80%」であることを学びました。浄水フィルターを設置するだけでは不十分で、それを大切に使い続けるための知識や習慣、そして地域全体の関わりがあって初めて、本当の意味での変化につながるのだと実感しました。また、国際プロジェクトの運営、予算管理、異なる文化背景を持つ人々とのコミュニケーションについても、多くのことを学びました。中でも大きな学びは、「まず相手の声に耳を傾けること」の大切さです。特にCentre des Handicapésでは、そこで働く介護者の日々の生活や課題を理解することが、既存の支援体制を尊重しながら活動を進めるために不可欠でした。
JICUF:今後の目標を教えてください。
モハメドさん:次の目標は、今回支援を行った2つの孤児院で、今後12か月間にわたり健康状態を継続的に把握するためのモニタリング体制を整えることです。水系感染症の発生が実際に減少し、その効果が長く続いているかを確認したいと考えています。さらに、このJICUFの助成金によって実現したプロジェクトを一つの成功モデルとして、地域の他の支援施設にも広げていきたいと思っています。
安全な水と基本的な健康教育は、特別な支援ではなく、すべての子どもたちが当然受けられるものであるべきです。カメルーンの劣悪な環境で生活する子どもたちが、より健康で明るい未来を築けるよう、これからも取り組みを続けていきたいです。
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現地での写真と共にプロジェクトの成果をシェアしてくださったモハメドさん、ありがとうございます。今後もプロジェクトを継続していくとのこと、頑張ってください!
