この夏USSI奨学生2名がICUを卒業-ジュリアさん
JICUFはICUでの学位取得を目指す米国人学生を増やす試みの一つとして、2018年から2022年までの5年間に渡り、米国人学生イニシアチブ(USSI)を導入しました。USSIは毎年2名の成績優秀な米国人学生を選抜し、4年間学費を全額支給するもので、2023年夏に初めての卒業生2名を送り出しました。そしてこの7月には2名のUSSI奨学生、式町・スティックニーみらロータスさんと山口ジュリアさんがICUを卒業しました。お二人にICUでの思い出と今後の抱負についてお話しを伺いました。本ページではジュリアさんのエッセイをご紹介します。みらさんのインタビュー記事はこちら。
ICUでの学びを振り返って
私は2021年度の米国人学生イニシアチブ奨学生として選ばれたことを大変光栄に思っています。JICUFの支援のおかげで国際基督教大学学士課程を修了、この7月に国際関係学を専攻、公共政策を副専攻として無事に卒業しました。卒業論文のタイトルは「The Politics of Refusal: Sovereignty, Rationality, and Trust in Conflict Mediation(拒否の政治:紛争調停における主権・合理性・信頼)」です。
ICUでの学びと思い出
4年間を振り返ると、ICUでの時間は学問的にも人間的にも大きな成長の機会となりました。もともと国際関係を学びたいと考えて入学しましたが、環境学や音楽など様々な分野を学ぶ機会にも恵まれました。リベラルアーツ教育の柔軟なカリキュラムのおかげで、世界的な問題について多角的な視点から考え、異なる分野の知識を結び付けて思考する力を養うことができました。また、学問的な刺激を与え、批判的かつ独立した思考を促してくれた教授陣から学べたことも幸運でした。彼らの指導は卒論だけではなく、私の将来の関心分野にも大きな影響を与えました。
ICUのもう一つの大きな特徴は、その国際的な環境です。多様な文化や言語背景を持つ仲間に囲まれて過ごした日々は、授業での学びと同じくらい貴重な経験でした。また、JLP(日本語学習プログラム)を通して日本語の能力が飛躍的に向上したことも、大きな成果だと自負しています。当初は想像もしていませんでしたが、最終的には授業をすべて日本語で受講できるだけでなく、日常会話にも自信を持つまでになりました。
教室外での学生生活も、ICUでの体験の重要な一部でした。2021年秋には、難民・移民問題に取り組む学生団体「IRIS(ICU Refugee and Immigrant Solidarity)」を立ち上げ、2023年には学生の交流と国際学生支援を目的とした「ICU FRIENDS(Fostering Relationships, Inclusivity, Education, Networking, and Diversity Support)」を設立しました。
IRISでは難民や移民の課題に学生が主体的に関わる場を作り、ICU FRIENDSでは、普段出会う機会の少ない学生同士をつなぎ、留学生が日本での生活に適応できるようサポートしてきました。これらの活動を通じて学んだリーダーシップやコミュニティづくりの経験は私にとってかけがえのない財産であり、二つの団体の成長に関われたことは、ICUでの活動の中で最もやりがいのある経験の一つでした。
忘れられない思い出
特に心に残っているのは、寮のグローバルハウスで出会ったコミュニティです。寮はまさに「第二の我が家」のような存在で、そこで築いた友情は家族のように大切なものになりました。夜遅くまで語り合った時間や、一緒にイベントを企画したこと、そして日々のささやかな暮らしの積み重ねが、ICUでの生活を特別なものにしてくれました。
また、日本国内外を旅したことも大きな思い出です。国内では北海道の雪まつり、仙台や関西地方、小豆島まで足を延ばしました。さらに、初めて東南アジアを訪れる機会を得てタイへも旅行しました。加えて、ICUのプログラムを通じてスウェーデン・ヨーテボリ大学のサマースクールに5週間参加し、「持続可能性」をテーマに学ぶこともできました。これらの旅行は私の世界観に大きな影響を与えました。
日本の英語塾で2年以上アルバイトをしたことも、とても貴重な経験でした。日本での初めての本格的な仕事であり、毎週多くの生徒や家族と関わることで、新しい形の異文化交流を体験できました。勉強と仕事を両立するのは簡単ではありませんでしたが、挑戦して本当によかったと思っています。
次のステップへ
私はICUの「学士・修士5年プログラム」に参加しており、これから1年間、大学院での学びを続けます。2025年9月2日に正式にICU大学院に進学し、公共政策・社会研究プログラムの政治・国際関係分野に所属しています。修士論文のテーマは「予防外交における調停の有効性」で、学部時代の研究や、紛争解決における新しいアプローチへの関心を発展させたものです。これから1年間、このテーマをより深く掘り下げられることをとても楽しみにしています。
修士課程修了後は、平和構築や紛争解決の分野で働きたいと考えています。理想としては、国際機関やNGOで、多国間の視点から人類共通の課題に取り組むような仕事に携わりたいと思っています。まだ具体的な進路は模索中ですが、ICUでの学びと経験があるからこそ、自信を持ってこの道を追求できると感じています。
最後に、学部での学びを可能にしてくださったJICUFのご支援に心から感謝しています。そのおかげで、ICUでの時間を最大限に活かすことができました。友情、学問的な挑戦、文化交流など、4年間のすべてが私にとってかけがえのない思い出です。
