この夏USSI奨学生2名がICUを卒業-みらさん
JICUFはICUでの学位取得を目指す米国人学生を増やす試みの一つとして、2018年から2022年までの5年間に渡り、米国人学生イニシアチブ(USSI)を導入しました。USSIは毎年2名の成績優秀な米国人学生を選抜し、4年間学費を全額支給するもので、2023年夏に初めての卒業生2名を送り出しました。そしてこの7月には2名のUSSI奨学生、式町・スティックニーみらロータスさんと山口ジュリアさんがICUを卒業。お二人にICUでの思い出と今後の抱負についてお話しを伺いました。本ページではみらさんへのインタビューをご紹介します。ジュリアさんのエッセイはこちら。
JICUF: ICUでの生活はいかがでしたか?
みらさん:ICUでの学生生活を通して、自分自身の日本のルーツとキャリアの方向性をより明確にすることができました。4年前、ICUに進学したのは、大学生活や日常生活の日米の違いを知りたい、という好奇心からでした。子どもの頃から日英バイリンガルの家庭で育ち、自分ではずっと日本のルーツを大切にしてきたつもりでしたが、日本に住んで初めて、両方の文化に同じくらい深くつながっていると実感できました。特に翻訳を専門的に学ぶ中で、日本語のスキルを磨きながら、二つの文化の微妙な違いを理解できるようになったのは大きな学びでした。
ICUで翻訳を学んだおかげで、ラグジュアリーファッションブランドでインターンをする機会も得られました。かねてから学部卒業後はロースクールに進み、将来はファッション業界で弁護士として働くことを目指していたので、排他的なイメージがあるファッション業界で、日本にいながらインターンの経験を積めたのは本当に貴重でした。ICUが東京にあること、そして翻訳の学びを深められたこと、この二つがあったからこそ、ファッション業界で初めての実務経験を積むことができたのだと思います。
JICUF:ICUでの一番の思い出は何ですか?
みらさん:ICUでの思い出のほとんどは、クラスメイトや先生方との人間関係に関わるものです。その中でも、学生生活を越えて今も自分の中に残っている大切な関係について触れたいと思います。それは、先生でありメンターでもあったビバリー・カラン教授との関わりです。カラン先生はMCC(メディア・コミュニケーション・文化)の教員で、主に翻訳研究を専門にされていました。私がMCCを専攻に選んだこと、インターンシップとしての挑戦、さらには卒業論文のテーマまでも、すべてカラン先生からの影響が大きかったと思います。日本での生活への適応から、ICUでの学びや将来の目標に至るまで、先生はいつも親身に耳を傾け、アドバイスをくださいました。ただの教授という枠を超えて、信頼できるメンターとして支えてくださった存在です。残念ながら先生は最近亡くなられましたが、先生との絆は今も自分の中に生きています。そして先生からいただいた数々のアドバイスや励ましは、私が新しい挑戦に向かうとき、常に支えとなっています。
JICUF:自分の目標を振り返って、何を達成できたと思いますか?
みらさん:ICU入学後のJICUFのインタビューで、私は「交換留学に参加すること、メジャーとマイナーを組み合わせて卒業すること、そしてICUにいる間に日本各地を探検すること」を目標として話しました。嬉しいことに、この3つの目標はすべて達成することができました。まず、3年生の時にアメリカのマサチューセッツ大学アマースト校との交換留学に参加しました。私はアメリカで生まれ育ったので、「留学」というよりはアメリカの大学生活を体験する機会だったと言う方が正しいかもしれません。アメリカ東海岸で暮らすのは初めてだったので、ICUでのキャンパスライフとの違い、そして地元テキサス州オースティンとの文化の違いを味わえたのは、とても新鮮で興味深い経験でした。
次に、私はICUでメディア・コミュニケーション・文化(MCC)を専攻し、副専攻として文学を学んで卒業しました。現在はさらに別の学位取得に向けて勉強を続けていますが、学部時代に身につけた「説得力」と「分析力」(コミュニケーションや文学の授業で特に重視されるスキル)は、今の学びにとても役立っています。
最後に、キャンパス外を旅し、日本の魅力を余すところなく探求することができました。子どもの頃から日本を訪れる機会はありましたが、訪問先はだいたい親戚の住む地域だけでした。日本の住人となったことで行動範囲がぐんと広がり、ずっとやりたいと思っていた旅の計画をいくつも実現できました。岐阜・飛騨高山で紅葉を楽しんだり、沖縄・石垣島で海風を感じたり…旅を通して日本の自然や文化をより深く味わうことができたのは、かけがえのない経験になりました。
JICUF:ICU卒業後は何をされる予定ですか?
みらさん:2025年7月にICUを卒業した後、アメリカに戻ってロースクールに通い始めました。現在はニューヨーク・マンハッタンにあるカルドーゾ法科大学院生で、将来的にはファッションや知的財産法の分野でのキャリアを目指しています。新しい学びの道を進む中で、日本のルーツ、そしてICUで身につけたスキルや人とのつながりは、これからもきっと大きな力になってくれると感じています。
JICUFのUSSIプログラムのおかげでICUで学ぶ機会が得られたことに、とても感謝しています。日本で過ごした時間は、自分の文化的な背景をより深く知るきっかけになり、かけがえのない体験をたくさん与えてくれました。この奨学金を実現してくださったJICUFの皆さんに、心から感謝を伝えたいです。
